2010 Fiscal Year Annual Research Report
血流センサーP2X4受容体のダイナミクス制御のイメージング解析
Project/Area Number |
20570152
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 剛 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40402565)
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Keywords | 血流 / P2X4 / 細胞内輸送 / イメージング / 機械刺激感知 |
Research Abstract |
血管内皮細胞には血流ずり応力の変化に応じてCa^<2+>流入が誘起される。ATP作動性のカチオンチャネルであるP2X4は血管内皮細胞に発現し、血流ずり応力変化依存的なCa^<2+>流入に中心的な役割を果たすこと、すなわち、血流センサーとして機能していることが、近年、明らかになった。内皮細胞における血流ずり応力変化依存的なCa^<2+>流入には、細胞外ATPが必要とされることから、当初、P2X4は細胞膜上に局在すると考えられた。しかし、定常状態では、P2X4のほとんどは細胞内小胞に存在し、細胞膜上の発現量は極微少であり、センサーとして機能する際に細胞内小胞より細胞膜へ移行する可能性が示唆された。これまでに、細胞内プールから細胞膜へのP2X4移行が、リガンド刺激やずり応力刺激により亢進することを、生化学的手法、イメージング法、電気生理学的手法により確認し、血流センサーであるP2X4に関する正のフィードバック機構の存在を示した。また、蛍光1分子法により細胞膜上でのP2X4分子の動態を観察した結果、ほとんどのP2X4分子は、3量体を形成して膜上を自由拡散しており、刺激により細胞膜上のP2X4分子の量が増加した後でも、3量体より大きい会合体の形成は認められなかった。また、細胞膜の微小陥入構造物であるカベオラとの相互作用を解析するために、カベオラ・マーカーとP2X4分子の同時観察を行ったが、P2X4分子のカベオラとの共局在は見られなかった。この結果は、免疫電顕による解析によっても裏付けられた。さらに、薬理学的な解析から、ずり応力刺激により亢進されるP2X4の膜移行は、細胞外のATPが必要であり、そのATPは血管内皮細胞に発現しているP2X4、あるいはP2Y受容体を介して誘導されることが明らかになった。
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