2009 Fiscal Year Annual Research Report
高度好熱菌とそのファージのポストゲノム研究に有用な遺伝子組換え技術の開発
Project/Area Number |
20570156
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
玉腰 雅忠 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 准教授 (10277254)
|
Keywords | 高度好熱菌 / インテグレーションベクター / 線毛 / ファージ / PilQ / ヒスチジンタグ / FLAGタグ |
Research Abstract |
高度好熱菌の線毛繊維が外膜を貫通するために必要なチャネルはPilQタンパク質によって形成される。このタンパク質のカルボキシ末端にFLAGタグおよびヒスチジンタグを付加したタンパク質を好熱菌で発現させるためのベクターを作製した。それを用いて高度好熱菌を形質転換した。得られた組換え好熱菌の線毛機能、すなわちDNAの取り込み能、ファージ感受性、および平面移動能を調べたところ、ファージ感受性が数分の一程度に低下するものの、概ね線毛機能を保持し、タグ付加によって線毛の機能を大きく損ねることはなかった。次にFLAGタグを指標としたPilQタンパク質の検出を以下のように試みた。まず組換え好熱菌を培養し、超音波による菌体破砕後、膜画分を得た。それを界面活性剤で可溶化した。得られた可溶画分を電気泳動により分画し、抗FLAG抗体を用いたウェスタンブロット解析を行った。その結果、FLAGタグを付加したPilQタンパク質を発現する好熱菌株のみに特異的なバンドが検出され、野生株にはバンドは全く検出されなかった。したがって高度好熱菌におけるFLAGタグの有効性を初めて示すことができた。またこのバンドはゲルの上端に検出されたことから、PilQタンパク質により巨大複合体が形成されることがわかった。さらに膜画分をタンパク質変性剤である尿素存在下で凍結融解すると単量体の大きさである分子量86000の位置に観察されたことから、この複合体は非常に安定性が高いことがわかった。本研究で作製されたこの組換え好熱菌は、PilQタンパク質、ひいては線毛の機能および構造解析に有用となる筈である。
|
Research Products
(8 results)