2008 Fiscal Year Annual Research Report
顕微光学法による神経-免疫シナプス構築の分子機構とその機能解析
Project/Area Number |
20570157
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
古野 忠秀 Aichi Gakuin University, 薬学部, 准教授 (80254308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 守 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (90090472)
伊納 義和 愛知学院大学, 薬学部, 助教 (90434547)
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Keywords | DRG / マスト細胞 / 接着分子 / カルシウムシグナル / シナプス / 画像解析 / CADM1 / nectin-3 |
Research Abstract |
神経系と免疫系の間には密接な相互作用が存在し、両者の相互作用が生体機能を巧妙に調節していることが明らかになりつつある。我々は、上頸神経節(SCG)とマスト細胞が接着分子N-cadherinやCADM1のそれぞれホモフィリックな結合を介して接着し、サブスタンスPやATPをメディエーターとした効率のよい情報交換を行っていることを明らかにしてきた。一方、新生児マウスから単離した感覚神経である後根神経節(DRG)にはCADM1がほとんど発現していなかった。しかし、DRGと骨髄由来マスト細胞BMMCを共存培養したところ、CADM1が接着部位に強く集積していることが分かった。そこで、CADM1を発現していないマスト細胞株IC-2細胞を用いてDRGとマスト細胞の相互作用におけるCADM1の役割を追究したところ、CADM1発現IC-2細胞は野生型のIC-2細胞に比べて接着効率が有意に増加し、BMMCと同レベルにまで回復した。一方、神経刺激に伴う応答率もCADM1発現IC-2細胞の方が野生型のIC-2よりも有意に高かった。そこで、マスト細胞側のCADM1と結合するDRG側の接着分子について検討したところ、DRGにはnectin-3が発現しており、nectin-3に対する抗体の存在下では、両細胞の接着およびシグナル伝達効率が有意に抑制された。また、nectin-3は両細胞の接着部位に集積している様子も観察された。このことから、マスト細胞に発現しているCADM1はDRGに発現しているnectin-3とヘテロフィリックに結合して両者の効率的な相互作用に関与していると考えられた。また、接着部位には、膜ラフトのマーカー蛋白質であるfiotillin-1やサブスタンスPの受容体であるNK1が集積していた。接着分子だけでなく、これらシグナル伝達に関与する分子も集積することにより、神経-免疫の効率的な相互作用が起こっていると推察された。
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