2010 Fiscal Year Annual Research Report
クロモキネシンkidによる分裂後期染色体コンパクションの分子メカニズムと意義
Project/Area Number |
20570161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大杉 美穂 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00332586)
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Keywords | 細胞生物学 / クロモキネシン / 核膜形成 |
Research Abstract |
遺伝情報を正しく分裂後の娘細胞へと受け継ぐためには、分配された1組の染色体すべてが1つの娘細胞核内に収まることが必須である。研究代表者はクロモキネシンKid/Kinesin-10が後期染色体コンパクションと呼ばれる染色体の一塊化を担うことで、正常な核形成を保証していることを明らかにした。本研究はKidが後期染色体コンパクションを引き起こすメカニズムを明らかにすることを目的としている。 Kid欠損マウスから得た未受精卵にEGFPタグを付加した野生型および各種変異型Kidを発現させ、雌性前核が多核となる表現型を回復できるか否かを検討するというレスキュー実験により、Kidはどのような活性を利用してコンパクションを引き起こしているかを検討した。その結果、Kidの染色体結合領域は必須であること、またモーター領域は必須であるが、モーターとしての運動活性は重要であるものの必須ではないことが明らかとなった。更に、Kidは分裂前中期、中期にはpolar ejection force(染色体を紡錘体極から紡錘体中央領域に向かって押す力)を発揮しているが、polar ejection forceが発揮されたままの場合、分裂後期の染色体分配運動が阻害されることがわかった。すなわち、polar ejection forceは分裂後期に移行する際に抑制がかかる必要があり、その抑制にはKidの第二微小管結合領域およびコイルドコイル領域が必須であることがわかった。これらの領域は、染色体コンパクションに対しても重要な領域であることが示唆されており、現在検討を続けている。
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