2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規RNAポリメラーゼII結合因子による遺伝情報発現の協調的制御機構の解明
Project/Area Number |
20570162
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
広瀬 豊 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (00218851)
|
Keywords | 遺伝子発現 / 転写 / RNAプロセシン / RNAポリメラーゼII / リン酸化 / WWドメイン / PCIF1 / Pin1 |
Research Abstract |
RNAポリメラーゼII(Pol II)は、遺伝子発現において中心的な働きをしており、その最大サブユニットカルボキシル末端領域に、転写中にダイナミックなリン酸化を受けるCTDと呼ばれる特殊な構造を有している。リン酸化CTDは、様々なRNAプロセシングやクロマチン修飾に関与する因子の足場として機能し、転写とこれらの過程の共役に重要な役割を果たしている。本研究は、私がこれまで独自に同定してきたリン酸化CTD結合WWドメイン蛋白質であるPCIF1、Pin1、およびWWOXの機能検索を行うことによって、遺伝子発現諸過程の協調的制御機構を解明することを目的としている。 本年度は以下のような新たな知見を得た。(1)PCIF1遺伝子を条件的に破壊したニワトリDT40細胞株を用い、PCIF1発現オフ時の5種類の内在性遺伝子の発現変化を定量的RT-PCRにより解析した。その結果4種の恒常的発現遺伝子の発現亢進と、逆にNotchシグナルの標的遺伝子の発現低下が観察された。(2)HeLa細胞を用いsiRNAによるPCIF1のノックダウンを行い、ChIP解析によって恒常的に発現している遺伝子上のPol IIの分布状態の変化を検討した。その結果Pol II分布およびリン酸化状態の変化が観察された。(3)大腸菌発現精製PCIF1-WWドメインを用いNMRによる構造解析をおこなった。その結果、PCIF1のWWドメインはPin1のWWドメインと基本的によく似た構造をとるが、PCIF1 WWドメインのN末側にはPin1には見られないミニヘリックスが存在した。(4)昨年までの解析から予想されたWWOXとmRNA前駆体プロセシング因子との細胞内相互作用の可能性を免疫共沈降実験により検討した。その結果内在性3'プロセシング因子が過剰発現WWOXと特異的に共沈することをみいだした。
|
Research Products
(11 results)