2009 Fiscal Year Annual Research Report
姉妹染色体分離期において染色体末端テロメアが果たす機能の解明
Project/Area Number |
20570165
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加納 純子 Osaka University, 蛋白質研究所, 特任准教授 (10323809)
|
Keywords | テロメア / 細胞分裂 / リン酸化 / 核膜 |
Research Abstract |
染色体末端に存在する特殊な構造体であるテロメアは、ケノム維持、減数分裂、細胞老化のタイミングなどの様々な生命現象において重要な役割を果たすことが知られている。しかし、テロメアが細胞周期の細胞分裂期においてどのような機能を果たすのかについては、いかなる生物種においてもほとんど知見が得られていない。そこで我々は、分裂酵母のテロメア結合タンパク質の中でも、様々なテロメア機能の中心的役割を果たしているRap1タンパク質に注目して解析を進めた。Rap1は、テロメアDNA結合タンパク質Taz1と相互作用することによつて、テロメアヘリクルートされ様々な機能を果たす。様々な解析の結果、Rap1は細胞分裂期特異的に高度にリン酸化されることがわかった。どの部位がリン酸化されているかを調べるため、in vitro kinase assayや質量分析によってリン酸化部位を検索したところ、非常に多くの部位がリン酸化されうることがわかった。さらに、Rap1のリン酸化はM期における核膜タンパク質との相互作用に対して阻害的に働き、それによって、テロメアは一時的に核膜から解離する可能性が示唆された。一方、Rap1は細胞分裂期特異的にテロメアから局在が少なくなる傾向にあることが顕微鏡観察から示唆された。最近、Rap1のあるスレオニン残基をグルタミン酸残基に置換すると、Rap1とTaz1との相互作用が阻害されることがわかった。このことから、M期におけるRap1のリン酸化が核膜およびテロメアからのRap1の解離を誘導し、それによって、テロメアは核膜から一時的に効率良く離れることが示唆された。
|