2010 Fiscal Year Annual Research Report
姉妹染色体分離期において染色体末端テロメアが果たす機能の解明
Project/Area Number |
20570165
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加納 純子 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任准教授 (10323809)
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Keywords | テロメア / 細胞分裂 / 染色体 |
Research Abstract |
細胞が正常かつ安定に増殖し続けるためには、細胞分裂の際に染色体が正確に娘細胞に分配されなければならない。近年の研究により、染色体のセントロメア領域に形成されるキネトコア構造体が染色体分離に重要な役割を果たしていることが明らかにされてきた。一方、線状染色体末端に存在する構造体であるテロメアは、世代を超えた染色体の維持に必要であることはわかっているが、細胞分裂期の染色体分離における役割についてはほとんど明らかにされていなかった。 そこで本研究では、テロメアの細胞分裂期における機能を解明することを目的とした。 1.細胞分裂(M)期におけるテロメアの核膜からの解離とその生理学的意義 closed mitosis(核膜非崩壊分裂)を行う分裂酵母の間期において、テロメアは核膜内側に配置されている。ところが、M期になるとテロメアは核膜から一時的に離れることが顕微鏡観察によってわかった。その一時的な解離が正確な染色体分離に必要かどうか調べるため、強制的にテロメアを核膜に局在させた株を作製したところ、高頻度に染色体が脱落することがわかった。このことから、closed mitosisにおけるテロメアの核膜からの解離は、染色体安定性に必要であることがわかった。 2.テロメア結合タンパク質Rap1のリン酸化制御 上記のテロメアの核膜からの解離のメカニズムを探るため、分裂酵母におけるテロメア複合体の中心的役割を果たすRap1の解析を行ったところ、Rap1はM期に高度にリン酸化され、そのリン酸化がテロメアの核膜からの解離に寄与していることがわかった。
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