2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック転写因子による発熱・炎症性サイトカイン遺伝子群の転写制御
Project/Area Number |
20570166
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
井上 幸江 Yasuda Women's University, 薬学部, 教授 (60159978)
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Keywords | 遺伝子 / 熱ショック応答 / 炎症反応 / 転写因子 / ストレス応答 / サイトカイン / 生体防御 / 発熱 |
Research Abstract |
熱ショック転写因子HSF1は、熱ショック蛋白質Hspの発現誘導だけでなく、正常な個体の発生や維持に必須であることがわかってきたが、その分子機構は不明である。申請者らは、HSF1がクロマチンの構造変化を引き起こすことによってIL-6遺伝子の転写制御を行うという新しい分子機構を明らかにした。本研究では、その成果をさらに発展させ、HSF1がIL-6をはじめとする発熱・炎症に関わるどのような遺伝子群の発現制御に関わっているか網羅的に探索し、その転写制御機構を明らかにするとともに、その生理的意義を解明することを目的とする。 1)HSF1により転写制御をうける発熱・炎症性サイトカイン遺伝子群の検索。 発熱性サイトカインの1つIL-6はLPSによって誘導されるが、温熱ストレス前処理により、その発現が抑制された。そこで、細胞をLPS処理、熱ショック+LPS処理を行い、発現変化の見られる遺伝子をDNAマイクロアレイにより網羅的に探索した。その結果、LPSで誘導される116遺伝子のうち、約90%が温熱ストレスで処理で抑制された。 また、IL-6の転写抑制因子であるATF3がHSF1依存的に温熱ストレスにより誘導された。 2)ATF3により転写制御をうける発熱・炎症性サイトカイン遺伝子群の同定 1)の結果、IL-6はLPSにより発現が誘導されるが、発熱により活性化したHSF1により誘導されたATF3により発現が抑制されるという一種のフィードバック機構により発現が制御されていることを示す。そこで1)で同定した温熱ストレスで抑制される86遺伝子について、ATF3欠損細胞やHSF1欠損細胞を用い、その発現がATF3やHSF1に依存しているかどうかをRT-PCRで調べた。その結果、IL-6を含む17の遺伝子の発現がATF3に依存していることがわかった。 このことは、HSF1がATF3を介して、発熱・炎症性サイトカイン遺伝子群の発現制御に関与していることを示す。
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Research Products
(8 results)