2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌100Sリボソームの構造と形成および解消機構の解明
Project/Area Number |
20570167
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
吉田 秀司 Osaka Medical College, 医学部, 准教授 (60288735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 泰史 大阪医科大学, 医学部, 講師 (60401733)
境 晶子 大阪医科大学, 医学部, 助教 (30225750)
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Keywords | 100Sリボソーム / 大腸菌 / 極低温電子顕微鏡 / ストレス応答 / リボソームサイクル / 翻訳因子 |
Research Abstract |
100Sリボソームの極低温(Cryo)電子顕微鏡による構造解析 大阪大学難波研究室の協力を得てCryo電子顕微鏡による100Sリボソームの観察を実施した。当初、電子顕微鏡観察用のサンプル調製によって100Sリボソームが解離してしまうという障害があったが、グルタールアルデヒドで100Sリボソームを固定する方法(GraFix)を採用することにより観察に成功した。その結果、(1)100Sリボソームは2つの70Sリボソームが2回回転対称で結合している、(2)100Sリボソーム中の70Sリボソームの結合様式(subunit間のbridging site)が、通常のものと異なる、(3)100Sリボソームは主にSmall subunitに存在するS2、S3、S5蛋白質を介して二量体化している、(4)100SリボソームにはtRNAが結合していない、(5)70Sリボソームでは存在しない領域に電子密度が観測される、などが明らかとなった。これらの結果は100Sリボソームの形成過程を考える上で非常に重要であり、今後の研究計画にも影響を与えるものである。例えば、従来の蛋白質合成過程から考えると、翻訳終了後のリボソームからtRNAを除去するのはInitiation factor3(IF3)であるが、昨年の研究結果として一度IF3がリボソームに結合すると100Sリボソームを形成する蛋白因子RMFは結合できないことを明らかにしている。従って、100SリボソームにtRNAが結合していないという事実を基に、従来のリボソームサイクルとは異なった過程を考えなければならない。そこで、今年度はRMF(あるいはHPF)が100Sリボソーム形成時にtRNAを除去する機能を有しているのかを調べることを予定している。また、現状の解像度ではRMFなどの蛋白質因子を可視化できなかったので、in vitroで70SリボソームにRMFなどの蛋白質因子を添加したときの構造を高解像度で観測し、蛋白質因子の結合位置や構造変化を明らかにする。
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