2008 Fiscal Year Annual Research Report
セントロメア構築の基盤をなすヒストンの脱アセチル化
Project/Area Number |
20570169
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
山尾 文明 National Institute of Genetics, 分子遺伝研究系, 教授 (10158074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 康博 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教 (00390625)
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Keywords | セントロメア / ヒストン / CEN-A / DNA複製 / ヘテロクロマチン / 脱アセチル化 |
Research Abstract |
セントロメア構造は中央のコアドメインであるキネトコアと、その外部近傍のヘテロクロマチン領域から構成される.キネトコア領域は微小管と結合して染色体分配・伝達の中枢機能を担い、ヘテロクロマチン構造とはまた別の特異なドメイン構造を保持する.ここにはヒストンH3バリアントであるCENP-Aが局在することが重要である.ヘテロクロマチン領域はHP1蛋白などのヘテロクロマチン蛋白が局在し、姉妹染色体の接着に必要な機能を提供する.DNA複製に伴いこれらの特異高次構造が染色体レベルでいかに保持・伝達されるかはほとんど未解明のままである.分裂酵母のDNA複製因子であるMcl1蛋白質が、キネトコア、ヘテロクロマチンの両方の領域で、その特異構造の維持に必須であること、この因子の欠損により、キネトコア領域へのSpCENP-Aのローディングが顕著に欠損していることを見いだした.Mcl1がDNA複製装置の因子であること、その欠損によりセントロメア領域へのCENP-Aの局在が著しく減少して、なお且つアセチル化H3、H4が蓄積することを統合的に考えて、複製時におけるヌクレオソームの再構成ないしは分配、及び新規ヒストンのデポジットがヒストン脱アセチル化反応で制御され、そのヒストン脱アセチル化反応をMcl1蛋白がDNA複製とカップルして統御しているというモデル検証した.実際、Mcl1の変異に起因するcnt領域の遺伝子サイレンシングの解除は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)Sir2、Clr3を過剰生産することで部分的に抑制された.Hst2、Hst4はMcl1と薬剤(TBZ)耐性の表現型が酷似するし、Clr3、Clr6は遺伝子サイレンシングの表現型をMcl1と共有する.これらのことからMcl1のキネトコア構築に関する作用は何らかのヒストン脱アセチル化の制御を介していると思われる.
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Research Products
(4 results)