2008 Fiscal Year Annual Research Report
新たなリン酸化プロテオミクスによる細胞内キナーゼ基質の網羅的同定と機能解析
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20570177
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小迫 英尊 The University of Tokushima, 疾患酵素学研究センター, 准教授 (10291171)
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Keywords | MAPキナーゼ / プロテオミクス / リン酸化 / 2D-DIGE / 核膜孔複合体 / 核-細胞質間輸送 / 抗リン酸化抗体 / IMAC |
Research Abstract |
本研究では、IMACによるリン酸化タンパク質の精製、2D-DIGE技術、及び抗リン酸化モチープ抗体を組み合わせたリン酸化プロテオミクスをさらに発展させ、MAPキナーゼをはじめとする種々のキナーゼの基質を網羅的に同定し、興味深い新規基質についてリン酸化制御とその生理的意義を解明することを目標としている。本年度はまず、血清飢餓状態のマウスNIH3T3細胞に対し、a)無刺激、b)PDGF刺激、c)UO126処理後にPDGF刺激、d)wortmannin処理後にPDGF刺激、e)anisomycin刺激、f)SB203580処理後にanisomycin刺激、g)Y-27632処理、を行うことにより、 ERK、 Akt、 p38及びROCKの基質候補を網羅的に同定するための試料とした。各々の処理後に細胞抽出液を調製し、IMAC後に2D-DIGE解析を行ったところ、ERK活性化による変動スポットは多数認められたのに対し、他のキナーゼの標的タンパク質と思われる変動スポットは僅かしか認められなかった。今後は全細胞抽出液ではなく、膜や核などのオルガネラ画分を調製してからIMACする必要があると考えられた。またこれまでにNup50などの核膜孔複合体構成因子をERKがリン酸化することにより、importin-βとの結合が抑制されることを明らかにしたが、他の輸送関連因子との結合についても検討した結果、Nup50のリン酸化によってimportin-α, CAS, Ran-GTPとの結合は変化しないのに対し、transportinとの結合は抑制されることが判明した。さらにERKを活性化または阻害してから調製したセミインタクト細胞を用いてin vitro核内移行アッセイを行ったところ、ERK活性化細胞ではGFP-importin-βまたはGFP-transportin単独でのエネルギー非依存的な核内移行が阻害されることを見出した。従ってERKが核膜孔複合体のリン酸化を介して核-細胞質間輸送を制御する可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)