2010 Fiscal Year Annual Research Report
疾患と初期発生に関わるWNKキナーゼシグナル経路構成因子の同定と制御機構の解析
Project/Area Number |
20570179
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
森口 徹生 愛媛大学, プロテオ医学研究センター, 助教 (40323571)
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Keywords | WNK / シグナル伝達 / 疾患 / 初期発生 / がん |
Research Abstract |
WNKキナーゼファミリーは多細胞生物に普遍的に存在するセリン/スレオニンキナーゼで、WNK1とWNK4が偽性低アルドステロン症II型と呼ばれる常染色体優性遺伝性の高血圧症の原因遺伝子として同定されている。これまでの研究から、WNKキナーゼファミリーの下流でSPAK/OSR1キナーゼ→イオンチャネルという経路が機能し、この経路の異常が発症の原因であることを明らかにした。しかしながら、WNK1ノックアウトマウスの胎生致死性の原因については不明な点が多く残されている。 OSR1を恒常的に過剰発現するトランスジェニックマウスを作製し、その表現型を調べたが、高血圧症の優位な症状は見られなかった。マウスB6系統にバッククロスしたWNK1ヘテロノックアウトにも明らかな血圧の変化は見られなかったことから、系統の違いによって表現型が異なる可能性も考えられる。一方、WNK1ノックアウトマウスとOSR1過剰発現マウスを交配させ、マウス発生過程について解析した。WNK1のホモ欠損個体は通常胎生10-11.5日目で発生が停止し吸収されてしまうが、OSR1過剰発現により、12.5~13.5日まで発生が進行することが認められた。このことから、OSR1キナーゼは、腎臓におけるイオン調節のみならずマウス発生過程においてもWNKキナーゼの重要なエフェクターとして機能することが示された。
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