2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570182
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
久保田 広志 秋田大学, 工学資源学研究科, 教授 (80332724)
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Keywords | 分子シャペロン / CCT / フォールディング / 基質特異性 / サブユニット / タンパク質相互作用 / シャペロニン / HSP60 |
Research Abstract |
細胞内で生合成される蛋白質は、アミノ酸の鎖であるポリペプチドとして翻訳されるが、正しい立体構造を獲得しなければ、その機能を発揮できない。このため、分子シャペロンと呼ばれるタンパク質群が、ポリペプチド鎖の正しい折り畳みを促し、タンパク質分子構造の形成を介助する。真核細胞のシャペロニンは、このようなシャペロン機能を担う重要なタンパク質あるであるが、その詳細な作用機構は明らかになっていない。このため、シャペロニンの細胞内機能の詳細を明らかにすることを研究の目的とした。これまでに、細胞質シャペロニンCCTとペプチド基質との相互作用を無細胞翻訳系とフォトクロスリンカーを使って解析し、サブユニット間で、基質のフォールディングのための役割分担がされている可能性を示唆された。さらに、もう一つの真核細胞シャペロニンであるミトコンドリァHSP60-HSP10複合体について、インビトロでの再構築に成功した。本年度は、ヒトHSP60-HSP10複合体形成機構の詳しい解析を行った、その結果、HSP60はATP依存的にシングルリングからダブルリングへの移行が起こること、ATP存在下でHSP60にHSP10を加えるとフットボール形の複合体が安定的に形成されること、HSP60に対するHSP10の結合がATPに依存して有意に強くなることがわかった。これらの性質は、大腸菌におけるHSP60のホモログであるGroELと異なっており、ミトコンドリアが真核細胞に共生した後、HSP60が独自に進化させたものと考えられ、ヒトをはじめとした真核生物のタンパク質成熟機構に合わせて進化させたものである可能性が高い。以上の結果は、CCTとHSP60という2種のシャペロニンが、それぞれ細胞内コンパートメントごとに独自の機能を進化させたことを示している。
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Research Products
(12 results)