2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア形態制御因子の網羅的検索とその機能解析
Project/Area Number |
20570185
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡 敏彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (40263321)
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Keywords | ミトコンドリア / オルガネラ |
Research Abstract |
ミトコンドア形態形成に関わる分子モータータンパク質の機能解析 私達は線虫KLP-6を新たなミトコンドリア形態制御因子として同定した。KLP-6はキネシン分子属し、哺乳類ではまだ相同分子が同定されていなかったため、ラット脳と肝臓のcDNAより全長のラットKLP6をクローニングした。線虫での研究を参考に、モータードメインを欠失したタンパク質をHeLa細胞に発現させるとミトコンドリア形態に異常を示し、線虫と同様の表現形が得られた。さらに、タイムラプス顕微鏡を用いてミトコンドアの移動速度を測定したところ、80%程度も減少していた。この結果より、KLP6が動物細胞でのミトコンドアの移動に働くことが示された。次に、同じ欠損体を神経芽腫細胞neuro2aに発現させると、神経軸索でのミトコンドリア輸送に顕著な遅延が観察された。これは、KLP6のノックダウンでも同様だったため、ミトコンドリアの神経軸索移動にも働いていることが明らかとなった。これまでに、神経軸索でのミトコンドリアの移動には、2つのキネシン(KIF5/KHC, KIFIBα)が関与していることが知られている。そこで、KLP6を含めた3つのキネシンの変異体をneuro2a細胞に導入し、その機能的分担を検討した。その結果、KIF5/KHCは細胞体から軸索へのミトコンドリアの移動に、またKLP6とKIFIBαは神経軸索での移動に重要であることが明らかとなった。これらの結果により、KLP6はミトコンドリア移動に関与する新たなキネシンであることが証明され、その内容はJournal of Cell Scienceに論文として採択された。
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