2008 Fiscal Year Annual Research Report
普遍的な極性制御タンパク質キナーゼ、PAR-1の上皮細胞極性制御機構の研究
Project/Area Number |
20570186
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鈴木 厚 Yokohama City University, 医学研究科, 准教授 (00264606)
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Keywords | 上皮細胞 / 細胞極性 / PAR / aPKC / 微小管 |
Research Abstract |
今年度は、すでに同定済みであったPAR-1結合タンパク質の中の一つ、p250(仮名)に関する研究を集中的に行った。このタンパク質は、N末端側に強いcoiled-coil領域を有する機能未知のタンパク質であったが、小胞輸送におけるtethering factor(輸送小胞を標的膜につなぎとめる際に働くタンパク質)と弱いながらも相同性を示すことから、PAR-1による上皮細胞後期極性化制御過程に働いている可能性が想定された。 1)p250に対応するcDNAをかずさDNA研究所より入手し、種々の動物細胞発現ベクターを作成し、PAR-1結合領域を確定した。その結果、PAR-1のキナーゼドメインがp250分子中央部の約100アミノ酸ほどの領域に結合することが判明した。 2)PAR-1は、p250分子上の結合部位内の特定のセリン・スレオニンをりん酸化することも判明した。 3)培養上皮細胞、MDCK細胞の内在性p250を検出しうる抗体の作成に成功した。そしてこのタンパク質が、上皮細胞特有のlateral微小管と共局在することを明らかとした。この局在は、高発現p250によっても確認され、また分子のC末端側半分の領域にその局在活性があることも判明した。 4)RNA干渉法を用いて、MDCK細胞においてp250をノックダウンさせると、PAR-1ノックダウン細胞と同様にlataral膜の伸張に障害を引き起こすことが判明した。 以上の結果は、p250がPAR-1の下流で上皮細胞後期極性化過程の重要な過程である、lateral膜伸張に働いている可能性を示唆した。
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