2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経プロトカドヘリンとダウン症CAM(DsCAM)のリガンド結合と分子機能解析
Project/Area Number |
20570187
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
武内 恒成 Niigata University, 医歯学系, 准教授 (90206946)
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Keywords | 神経回路形成 / 細胞接着 / タンパク質発現 / モデル動物 |
Research Abstract |
プロトカドヘリンファミリー(以下Pcdh)および免疫グロブリンスーパーファミリー(以下IgSF)分子群は、高次神経系を中心に発現し、脳・神経回路機能形成に関わる細胞接着分子群である。PcdhやlgSFでは様々なバリアント分子があり、結合活性が低く、いずれも様々な他分子・ヘテロな結合活性も持ち、神経回路形成などで微妙な生理機能を示すため解析が難しい。従来、細胞膜タンパク質の発現系には困難が伴いネックとなっていたが、カイコバキュロ発現系は、従来の発現系と比べて発現効率・“正確な"翻訳後修飾とトポロジーでの発現から、非常に強力な系であるとされる。今年度、PcdhマウスPcdhl, Pcdhl5に加え、さらにCNRとして知られるクラスター型PcdhのうちPcdhα1、Pcdhα5およびPcdhγ、プラナリアDjPcdhl(マウスPcdhlオルソログ)、DjPcdh2をの全長発現を完了し、解析を開始した。DscamではIgドメインの各種欠失体も発現を終えるとともに、それぞれのホモあるいはヘテロの結合活性を、前記のカイコバキュロ(BmN4)細胞を用いた凝集活性からまず開始した。特にDsCAMにおいてはその細胞内情報伝達系で下流にあると考えられる分子の発現と局在解析を行い、マウスとプラナリアでは情報伝達系のシステムが異なることを見出した。また、ゲノム解析からプラナリアには、マウスなどで報告されるスプライシングバリアントは存在しないことを明らかにし、進化の過程で、これら分子は非常に分子形態の似たオルソログとして存在するにも関わらず、脳形成過程における分子メカニズムは全く異なる方向性をとっていることも明らかとなった。
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