2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経プロトカドヘリンとダウン症CAM(DsCAM)のリガンド結合と分子機能解析
Project/Area Number |
20570187
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
武内 恒成 Niigata University, 医歯学系, 准教授 (90206946)
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Keywords | 神経回路形成 / 細胞接着 / タンパク質発現 |
Research Abstract |
免疫グロブリンスーパーファミリー(以下IgSF)およびプロトカドヘリン(以下Pcdh)分子群は、高次神経系を中心に発現し、脳・神経回路形成関わる細胞接着分子群である。しかし、これらIgSFとPcdhはさまざまなバリアント分子の存在と、結合活性はClassic型のカドヘリンより低く、さまざまな他分子とのリガンド結合特性を備え、脳発生過程・回路網形成において微妙な生理機能を示し解析が難しい。従来、これら分子を含む細胞膜タンパク質の発現系はネックとなっていたが、カイコバキュロ発現系においては発現効率(量)の高さおよび正確な翻訳後修飾・正しいトポロジー発現から非常に有効である。昨年度、発現を完了したマウスPcdh1,Pcdh15に加え、CNRとされるクラスター型PcdhのPcdhα1,Pcdhα5、Pcdhγ、原始的PcdhとしてプラナリアDjPcdh1,DjPcdh2の全長発現を完了し、カイコ細胞膜表面にバキュロ発現系を用いて発現し、この細胞の凝集活性からの結合活性解析を進めてきた。これまでに多くの分子はホモフィリックな結合活性を備えていること、マウスPcdhは原始的なプラナリアDjPcdと比較しても非常に微妙なホモフィリック結合活性を持つこと、さらにヘテロなPcdh相互での結合も進化とともに活性が見られることが明らかとなった。これは膜大量発現と細胞の扱いの容易い昆虫細胞を用いたことによる成果である。さらに各カドヘリンリピートを欠損あるいは置き換えた分子を発現しPcdhの機能ドメインをいくつか明らかにした。顕微鏡下において発現した機能ドメインを蛍光標識し、膜発現分子との結合を捉えることで確認をするシステムも確立することに成功した。IgSFにおいてはDsCAM分予の発現からマウス、プラナリアともにホモフィリック結合活性があり、とくに原始的なプラナリアDsCAMのほうが活性が高かった。さらにプラナリアには哺乳類にみられるようなスプライシングバリアントがないことは確かで、ドメイン構成も哺乳類のタイプ配列をそのまま維持していることを、Pcdhと同様のIgドメインキメラ分子発現での結合活性から明らかとした。現在、Pcdh・DsCAMともにゲノムインフォマティクスによる進化解析を北大工学部生命情報との共同で展開し、この進化的側面とインフォ情報を踏まえたさらに詳細な機能ドメイン解析を進められるようになった。
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