2008 Fiscal Year Annual Research Report
結晶構造に基づいたFERキナーゼの生理作用と制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
20570194
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
増田 道隆 National Cardiovascular Center Research Institute, 循環器形態部, 室長 (00190364)
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Keywords | ナノバイオ / 生体分子 / BARドメイン / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
本研究ではN-末にBARドメインを持つ特異なチロシンキナーゼFERの結晶構造を決定し、それに基づきFER N-末の機能およびキナーゼ活性調節への関わりを調べ、FERの基本的性質を明らかにすることを目的とする。FERのBARドメインの特徴として、そのC-末側にコイルドーコイル(CC)ドメインを持つことがあげられる。CCドメインはp120カテニンとの結合部位であることが報告されており、Ferの細胞接着制御活性や細胞内局在に深く関与していると考えられていた。 20年度予定のN-末の構造決定を本研究の最初の目標として取り組み、成功した。構造を基に多数の変異体を作製し、その細胞内分布やp120カテニンとの結合、キナーゼ活性などを調べた。驚いたことに、p120カテニンとの結合は全く再現できず、さまざまな実験の結果から、この報告は誤りであるとの結論を出さざるを得なかった。そのため方針転換をし、FerがなぜBARドメインタンパク質としては例外的に細胞質の可溶性分画に存在するかを明らかにする実験に取り組んだ。その結果、BARドメインに進化的に保存されているたった2個のアミノ酸残基が変化したことにより、脂質膜への親和性が大きく減弱していることを示唆する結果を得た。昨年度の成果はBARドメインの構造および機能の多様性を明らかにする意義を持つものである。
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