2009 Fiscal Year Annual Research Report
結晶構造に基づいたFERキナーゼの生理作用と制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
20570194
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
増田 道隆 National Cardiovascular Center Research Institute, 循環器形態部, 室長 (00190364)
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Keywords | ナノバイオ / 生体分子 / BARドメイン / チロシンキナーゼ / 生体膜 |
Research Abstract |
本研究ではN-末にBARドメインを持つ特異なチロシンキナーゼFERの結晶構造を決定し、それに基づきFER N-末の機能およびキナーゼ活性調節への関わりを調べ、FERの基本的性質を明らかにすることを目的とする。FERのBARドメインの特徴として、そのC-末側にコイルドーコイル(CC)ドメインを持つことがあげられる。CCドメインはp120カテニンとの結合部位であることが報告されており、Ferの細胞接着制御活性や細胞内局在に深く関与していると考えられていた。 20年度にN-末の構造決定に取り組み、ほぼ成功したが、きわめてセルが長く対称性も高いため信頼性に疑問が残った。21年度に最終決定し、BARドメインとCCドメインの関係を明らかにすることができた。引き続き、構造を基に多数の変異体を作製し、その細胞内分布やp120カテニンとの結合、キナーゼ活性などを調べた。昨年報告したように、p120カテニンとの結合は全く再現できず、この報告は誤りであるとの結論に至った。しかし、FERがなぜBARドメインタンパク質としては例外的に細胞質の可溶性分画に存在するかを明らかにできた。すなわち、CCドメインがBARドメインの機能を阻害するように働くのではなく、BARドメインに進化的に保存されているたった2個のアミノ酸残基が変化していることにより、脂質膜への親和性が大きく減弱しているのである。BARドメインの変異により、人為的に脂質膜結合性と膜変形能を付与したFERのリン酸化活性は2倍以上に上昇し、膜移行が活性調節に重要であることを示唆する結果を得た。昨年度の成果はBARドメインの構造および機能の多様性とFERのキナーゼ活性調節機構を明らかにする意義を持つ。
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Research Products
(3 results)