2008 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ脳における高次神経構造構築機構の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
20570196
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古久保 克男 (徳永 克男) University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (00272154)
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Keywords | 神経発生 / 脳 / ショウジョウバエ / 学習・記憶 / 遺伝子 / キノコ体 / 触角葉 / ホメオドメイン |
Research Abstract |
我々はこれまでに、キノコ体の形成と可塑性を支える遺伝子網の理解を目的に、マイクロアレーによる発現遺伝子の体系的解析を行い,さらに、キノコ体特異的RNAiにより神経構造に異常を誘起する遺伝子を多数選別してきた。20年度はこれらの中で特に顕著な異常を示すHr46遺伝子についてMARCM神経モザイク解析を継続し、キノコ体神経幹細胞の経時的特異性の維持に重要な役割を果たすことを明らかにした。一方、ショウジョウバエの脳の代表的高次神経構造であり、キノコ体の主要入力回路である触角葉投射神経についても分化制御遺伝子の同定と解析を推進した。投射神経はショウジョヴバエの嗅覚回路において、二次ニューロンとして機能し、嗅受容神経によって触角葉へ伝達された嗅覚情報を高次嗅覚中枢であるキノコ体と側方角へと伝達している。投射神経はそれぞれの種類ごとに触角葉の異なる領域へ樹上突起を投射するとともに、キノコ体の樹上突起構造である傘部に特異的な神経投射を示し、キノコ体樹上突起構造をキノコ体神経とともに協調的に形成している。発生過程でに触角葉で発現する遺伝子の探索により多数の遺伝子を同定した。これらのなかで、発生機能に大きな効果を持つ事が期待されたホメオボックスを持つ遺伝子め一つに着目し、解析を進めた。この遺伝子は発生過程と成虫の投射神経で強く発現しており、神経分化を制御している遺伝子である事が推測された。MARCM神経モザイク解析により、当該遺伝子の機能欠失により投射神経の樹状突起投射パターンに大きな異常が誘起される事が明らかとなった。さらに、キノコ体ならびに側方角への投射パターンを解析したところ、遺伝子機能欠失により軸索投射にも大きな異常が誘起される事が明らかとなった。この遺伝子と協調的に機能する遺伝子ならびに分化調節カスケードの中で下流に位置する遺伝子等の探索を継続している。
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