2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570201
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
服田 昌之 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (00249947)
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Keywords | 発生・分化 / 変態 / 海洋バクテリア / エコデボ / 環境応答 / サンゴ |
Research Abstract |
ミドリイシサンゴ幼生の着生行動を経時観察し、基盤上を這い回る探索行動に続いて一箇所で回転する確認行動を取り、この段階で着生するかどうかが決定され、変態へ進むか探索行動に戻るかに分かれる。これらのことから、従来は一連の複合的過程と見なされてきた着生変態を、2段階の着生行動と変態過程の3つに明確に区分することができた。確認行動の時は反口端のみで基盤に接することから、環境シグナルの受容には部域特異性が予想される。しかし幼生を切断して調べたところ、体内シグナルである変態誘導ペプチドホルモンへの応答性が反口側1/3に局在しているのに対して、環境シグナルである変態誘導バクテリアへの応答性は全身にあった。口側組織での環境シグナル受容は、探索行動時に起こる可能性が考えられた。また口側組織では、環境シグナルを受容してからその下流で働く体内シグナルとして、反口側とは異なる未知のホルモンが存在することが示唆された。変態誘導ペプチドのクローニングを進める前に、類似配列を含む遺伝子がESTデータベースに公開されたため、予想されるペプチドを合成して検定したところ、変態誘導活性は皆無であった。構造活性相関の結果からも、活性を有するアミノ酸配列ではないことが示された。しかしながら変態後のポリプに対しては、触手の特異な収縮運動を引き起したことから、これはヒドラの場合と同様に運動制御を担う神経ペプチドである可能性が考えられる。幼生における機能は未知のままである。またゲノムDNAからのクローニングによって、この遺伝子にはイントロンが無いことが明らかになった。
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