2012 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエにおけるヒト前立腺相同器官=附属腺の発生メカニズム
Project/Area Number |
20570202
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
安達 卓 学習院大学, 理学部, 教授 (20221723)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / 附属腺 / 前立腺 / 2核化 / 繁殖戦略 / Mud / NuMA / 中央紡錘体 |
Research Abstract |
昆虫のオスがもつ内部生殖器官である附属腺は、精液の精子以外の構成成分を産生する点で、ヒトの前立腺に類似したものである。ショウジョウバエでは、附属腺は80種以上のペプチドを産生することが知られ、それらはメスの交尾嚢に送られた後、メスに働きかけて卵巣成熟・食欲増進・産卵促進・交尾阻止などの性質変化をもたらす点で、オスの繁殖戦略上重要な意義を果たしている。ショウジョウバエの附属腺ではさらに、固有の2核細胞集団が形成され、精液貯蔵量に可塑性を与える特徴が知られるが(Taniguchi et al. 2012)、本研究ではその発生機構の解明を試みてきた。附属腺の原基を構成する細胞群は、当初ばらばらの細胞周期進行を見せるが、蛹期の特定の時期に組織全体として統一された細胞周期アレストを見せるようになり、その後一斉に2核化を行うことがわかったが、その進行にも厳密には極性が生じていた。またその斉一化した2核化の際には、①中央紡錘体の形成不全、②細胞分裂極性の頂端基底方向への変化、③細胞形態の非球形化などの細胞形態変化を伴っていたので、遺伝学的にそれらを変化させる実験を行ったところ、①の性質が2核化に最も重要であることが分かった。また、①を変化させる様々な突然変異体またはRNAi系統を検索した結果、微小管結合タンパク質の1つであるMud/NuMA (Mushroom body defect)のうち、特定のスプライシングバリアントが重要な役割を果たすことが明らかとなった。この因子が失われると、附属腺細胞は2核化を起こしにくくなり、また通常の細胞分裂を行う細胞にこの因子を強制発現させると、異所的な2核化が起きた。この因子がどのようなメカニズムによって2核化を誘導しているのか、詳細な分子メカニズムについてはまだ解明されていないが、以上により現時点で、2核細胞形成のための因子が特定されたと結論できる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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