2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20570203
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
吉岡 秀文 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (40191548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 恵 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (20243347)
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Keywords | DMRT1 / MHM / DM domain / chick / gonad / sex determination |
Research Abstract |
精巣と卵巣の分化に関わると考えられている遺伝子には脊椎動物の種を超えて共通なものひとつにDMRT1遺伝子があげられる。DMRT1 (doublesex and mab-3 related transcription factor 1)はDM domainと呼ばれるDNA binding motifを持つタンパク質をコードしている遺伝子であり、ヒトではこの遺伝子変異によりXY sex reverse(雄の雌化)が高頻度で生じることから、精巣分化に必須な遺伝子と推定されている。一方、ニワトリ Z性染色体上に存在し、雄特異的に高度にメチル化修飾を受ける配列が発見され、MHM (male hyper methylated) regionと名づけられた。このMHM regionには塩基の繰り返し配列がみられる。またW染色体の存在によって非メチル化される可能性があり、低メチル化状態である雌でのみ、RNAの転写が見られる。また転写されたnon-coding RNAは核外には出ず、隣接する DMRT1 付近に蓄積していることが分かっている。このためMHM regionから転写されるnon-coding RNAが DMRT1 の発現を制御して胚の性分化を決定しているという仮説が提唱されている。2007年5月にニワトリのゲノムのデータベースが更新され、MHM region及びDMRT1のZ染色体上での位置や塩基配列が明らかになり、この領域の詳細な解析が可能となった。 本研究ではMHM region近辺(MHM領域)のバイオインフォマティック的な解析を行い、ゲノム上での繰り返し構造やCpG Islandの分布を明らかにした。またMHM領域から転写されるRNAの解析を行った。これらの解析によりはじめて実際の胚の性腺において上記仮設に沿った遺伝子機構が確認された。このことはMHM領域がDMRT1の発現を制御し、ニワトリ胚の雄化の引き金になっている可能性を強く示唆している。
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