2010 Fiscal Year Annual Research Report
中胚葉領域を確定するNodalとNotchの共役機構に関する研究
Project/Area Number |
20570212
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
木下 勉 立教大学, 理学部, 教授 (30161532)
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Keywords | 中胚葉形成 / Nodalシグナル / Notchシグナル / Oct25 / p27Xic1 |
Research Abstract |
平成20~21年度の研究により、原腸胚の中胚葉形成領域ではNoda1シグナルとNotchシグナルが共役してp27XiclとOct25を転写誘導すること、p27Xic1は予定中胚葉細胞の分裂を停止させ細胞分化へ誘導するのに対し、Oct25はp27Xic1の発現を抑制して予定中胚葉細胞の増殖維持に働くことがわかった。これらの結果から、中胚葉形成領域で発現するOct25は、一部の予定中胚葉細胞の分化を抑制し多能性を維持させる働きをもつ可能性が示唆された。そこで平成22年度では、組織形成過程におけるOct25の役割を明らかにするために以下の実験を行った。 1.組織形成過程におけるOct25発現細胞の網羅的解析 Oct25の5'上流5kbpのDNA領域にはNotchシグナル、Nodalシグナルのシス配列を含むOct25のプロモーター領域が存在する。この5'上流領域をGFPに繋いだレポーターコンストラクトをゲノムに導入し、初期発生過程におけるGFP発現細胞の分布を網羅的に解析した。その結果、Oct25は原腸胚の帯域で広く発現し、組織形成が進むと次第に発現細胞の数が減少するが、筋組織、骨組織、心筋組織の一部に継続して発現が維持されることがわかった. 2.Oct25発現細胞の分布と核移行の解析 Oct25タンパクのN末端領域に対するモノクローナル抗体を作製し、Oct25発現細胞の分布およびOct25タンパクの核移行時期を解析した。その結果、Oct25タンパク質は原腸胚期の中胚葉細胞の細胞質において初めて検出され、その後、発現量が増加するとともに、筋節、心内膜、心筋組織の一部において、核内にOct25タンパク質が局在する細胞が検出された。 Oct25の発現を維持する細胞は中胚葉組織の多能性前駆細胞であることが予想される。
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