2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス体節パターン形成におけるNotchリガンドDll1,Dll3の機能的差異
Project/Area Number |
20570215
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
高橋 雄 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部・第4室, 主任研究官 (60321858)
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Keywords | 体節形成 / 分子時計 / Notchシグナル / Delta / マウス / 遺伝学 |
Research Abstract |
体節が形成されないD111ノックアウトマウスとMesp2ノックアウトマウスにおいて、椎体の分節化はどのように生じているのか解析するため、新たに体節後半部の発生運命を追跡するUncx4.1-LacZトランスジェニックマウスを用いた解析を開始した。脊椎動物のうち羊膜類で体節から脊椎骨の椎体が生じる際には、1個の体節の後半部が次の体節の前半部と結合する再分節化という過程を経る。ニワトリ胚では再分節化の過程が移植実験によって実証されているが、マウス胚では古典的な記載しかなされていない。マウス胚における再分節化の過程を明らかにするため、まず野生型のUncx4.1-LacZトランスジェニックマウスにおいて脊椎骨の形成過程を観察した。その結果、体節後半部の細胞から椎間板と椎体の前半部が生じることが確認された。また脊椎骨の各領域(頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎)において、脊椎骨形成の様式は少しずつ異なっていた。次にMesp2ノックアウトマウスのバックグラウンドでは、体節中胚葉全体がUncx4.1-LacZを発現しβガラクトシダーゼ染色されたが、脊椎骨のうち神経弓は顕著に癒合していたのに対して、椎間板と椎体の交互の分節構造は形成された。Mesp2ノックアウトマウスでは、後方化した体節中胚葉から椎間板と椎体の両方が形成されていた。これらの観察結果から、体節の分節化と前後パターンの形成は、椎間板と椎体の繰り返しパターン形成に必須ではなく、その規則性に必要であると考えられた。
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