2009 Fiscal Year Annual Research Report
順遺伝学を基盤とした造血・心血管発生の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
20570216
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
川原 敦雄 National Cardiovascular Center Research Institute, 循環器形態部, 室長 (10362518)
|
Keywords | 心臓発生 / ゼブラフィッシュ / 血管発生 / 変異体 / 原因遺伝子 |
Research Abstract |
私は、ゼブララィッシュのゲノムに変異を誘導し、心臓・血管発生に異常を示す変異体を作製した。本研究は、心臓・血管の発生過程に異常を示す変異体の原因遺伝子を同定し、その分子機能を明らかにすることにより、心臓・血管発生の形成機構を解明することを目標とする。平成21年度は、節間血管の形成過程に異常を伴うko095変異体の解析を行い、以下の事柄を明らかとした。 1.ゲノム・マッピングの結果、ko095変異体の原因遺伝子は、蛋白質合成に必須のアミノアシル基転移酵素であるSeryl-tRNA synthetase(Sars)と考えられた。 2.ko095変異体の血管形成異常がゼブラフィッシュおよびヒトSars RNAのインジェクションにより回復することを見出した。また、Sarsに対するアンチセンス・モルラォリノを受精卵にインジェクションするとko095変異体と同じ節間血管の形成異常が観察された。これらの結果からSarsがko095変異体の原因遺伝子と結論づけた。 3.Sarsの酵素活性を欠失した変異体型もko095変異体の表現型を抑制することから、酵素活性以外の新規の活性により血管発生を制御していると考えられた。 4.ko095変異体において、血管発生の制御因子であるVEGFの発現が亢進しており、Sarsが、VEGFの発現を負に制御することにより血管発生を制御していると考えられた。 本研究において、Sarsが血管発生を制御する新たな機能分子であることを発見した。また、Srasが、VEGFの発現を負に制御することにより節間血管の形成を調節していると考えられた。
|
Research Products
(13 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article]2009
Author(s)
川原敦雄、西毅、山口明人、望月直樹
-
Journal Title
細胞工学(スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)の輸送体であるSpns2は、心臓前駆細胞の移動を制御する)
Pages: 390-391
-
-
-
-
-
-
-
-