2010 Fiscal Year Annual Research Report
細菌から出芽酵母へのドメイン間水平遺伝子伝達に働く正と負の因子
Project/Area Number |
20570221
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 克周 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50221320)
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Keywords | 生物界間接合 / T-DNA輸送 / 細菌 / アグロバクテリア / 酵母 / 真核生物 / 接合遺伝子 / vir遺伝子 |
Research Abstract |
アグロバクテリアを供与体とした酵母への遺伝子伝達における正の因子の探索 前年度までに、アグロバクテリアのT-DNA輸送機構による遺伝子の水平伝達を出芽酵母変異体株BY4742で高感度かつ簡便に検出する実験系を確立し、10^<-4>前後の効率で形質転換体を検出できるようになった。この系を用いて受け取る能力の低い変異体をスクリーニングを行った結果、変異体を14株得た。更に、水平伝達の結果を検出する選抜マーカーをURA3をTRP1に換えた選抜や、供与菌と受容菌の細胞数を変化させるなどの実験を行い、どの条件でも野生型親株に比して明瞭に効率が低い変異体を選出した。3変異体株(Δrad52、Δsrs2、ならびにΔsmil)が該当した。このスクリーニングではT-DNAに酵母の自律複製遺伝子と動原体ならびにテロメアを搭載している。これらの染色体機能遺伝子を全て欠き選抜マーカー遺伝子と酵母染色体遺伝子の一部を持つT-DNAに換えて形質転換効率を測定すると、Δrad52では先と同様に低く、一方、Δsrs2では野生型より高いことがわかった。T-DNAの染色体への組み込みでは相同組換え時にRad52が要求され、相同組換えを機能的に抑制するSrs2が無いと高効率となり、染色体機能単位をもつT-DNAでは過剰な相同組換えが阻害的と解釈できる。Rad52とSrs2がどの段階でどの部位に作用するのか更に理解する必要がある。 アグロバクテリアのT-DNA輸送装置としてTiプラスミドをRiプラスミドに換えたところ大幅な効率低下がみられた。低下の原因を分析したところ、RiプラスミドのコードするGALLSタンパクが酵母で機能しないためであり、TiプラスミドのもつvirEオペロンで機能相補できることがわかった。
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Research Products
(6 results)