2009 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱進化時に発現する新規クオラムセンシング機構の解析
Project/Area Number |
20570225
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
岸本 利彦 Toho University, 理学部, 准教授 (90339200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 総一郎 東邦大学, 理学部, 准教授 (10287550)
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Keywords | 大腸菌 / 耐熱進化 / クオラムセンシング / 相互作用 |
Research Abstract |
1.クオルモンの精製・構造解析 クオラムセンシングが観察される大腸菌の培養液より大量上澄調製系を構築し、有機物質分析手法(ソックスレー抽出)と生化学的分析手法(疎水性相互作用、ゲル濾過)を組み合わせてクオルモンの精製を行った。その結果、LH20カラムを用いた疎水性相互作用クロマトグラフィーとゲル濾過クロマトグラフィーにて活性画分の分離に成功し、前年度同定されたウラシルとは異なる物質であることを^1H-NMR解析にて確認した。 2.クオルモンの化学合成・機能解析 分離された活性画分の構造解析においてウラシル以外の複数種類の物質の混合物であることが確認され量的に更なる構造解析用の精製が不可能であったため、混合物質として機能解析を行い、ウラシルより強い増殖誘導活性を有することを確認した。 3.クオラムセンシングの生理学的意義の解析 クオラムセンシングにより高温環境で相互作用する大腸菌は、形態的・生理的にヘテロな表現型を示すこと見いだした。この大腸菌は、相互作用の無い(弱い)環境では経時的に増殖速度が多様に変化するヘテロな増殖を示すが、上澄みによる相互作用が生じることで、均一性を増し経時的に一定した先祖株に似た増殖様式をもつようになることを確認した。この結果は、相互作用により遺伝的浮動が誘発されやすくなることで高温適応が促進される可能性を示唆している。 4.上述の成果に関して分子生物学会にて発表を行った。
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