2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゼノパス・トロピカリスにおける遺伝子トラップ法を用いた発生制御遺伝子の探索
Project/Area Number |
20579002
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
荻野 肇 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 准教授 (10273856)
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Keywords | 分子生物学 / 発生・分化 / ゲノム / 遺伝学 / 遺伝子 / 進化 / ツメガエル |
Research Abstract |
(1)遺伝子トラップ系統の作製と表現型の解析 昨年度に引き続き、ヒートショック遺伝子の基本プロモーターをGFP遺伝子に連結したトラップベクターを用いてFO個体を作製した。これらの中で、脳や脊髄、眼などでGFPを発現するものを選択し、性成熟後に野生型と交配してF1世代を作製した。次にGFP陽性のF1の兄妹交配によってF2ホモ接合体を作製して表現型を検討した。37系統について調べたが、GFPの発現は世代を超えて維持されていたものの、ミュータントの表現型を示すものは得られなかった。この結果は、トラップベクターがゲノム上で遺伝子のコード領域の外に挿入され、その近傍に存在するエンハンサーの影響下で発現する場合が多いこと、このような従来型のエンハンサートラップ型ベクターでは、ミュータントが得られる確率が低いことを示唆している。 この問題を解決するために、エンハンサーからプロモーターへの転写促進作用を遮断する働きが知られている、ニワトリβ-グロビン遺伝子のインシュレータ配列をGFP遺伝子の下流に付加したトラップベクターを新たに開発した。 このベクターが遺伝子のエンハンサーとコード領域の間に挿入されると、コード領域の転写が阻害されると共にGFPがエンハンサーの支配下で発現する。ゲノム全体においてエンハンサーとコード領域の間の距離は、コード領域そのものよりも圧倒的に長いと考えられ、それら全ての領域をミュータジェネシスの標的とする本方法は、遺伝学研究において革新的な技術になると期待される。 (2)トラップベクターの汎用性の検討 様々な遺伝子のエンハンサーに対して、(1)のトラップベクターの応答能を検討し、その汎用性と強制発現用ベクターとしての可能性も検討した。この過程で、ホメオボックス遺伝子Sixlのプラコードエンハンサーや、カエルの肢芽再生におけるWntシグナリングの必要性を発見した。
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Research Products
(9 results)