2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルス病における病徴制御法の開発~アブラナ科植物とカブモザイクウイルス~
Project/Area Number |
20580002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
犬飼 剛 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 助教 (90223239)
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Keywords | カブモザイクウイルス / アブラナ科植物 / 病徴制御 |
Research Abstract |
ハクサイTuNIホモログの単離を目的に、アラビドプシスTuNI遺伝子(R gene)の配列を基に設計したプライマーを用いてハクサイ及びカブ品種のゲノムDNAからTuNIホモログを増幅、クローニングした。各クローンの配列を比較した結果、少なくとも9種類のホモログが存在し、そのうちY7クローンがもっともTuNIと配列相同性が高かった。ハクサイ・カブ11品種についてこの遺伝子の配列をシークエンスしたところ7種類のハプロタイプに分類された。一方、TuMV系統6系統に対する抵抗性及び感受性の場合の病徴のパターンは5種類に分類された。Y7のハプロタイプ及びTuMV系統に対する病徴パターンの間のアソシエーションを見たところ、カブ品種耐病ひかりにおいて両者のアソシエーションが示唆された。 ハクサイ品種「秋まさり」由来のS_2系統が示すTuMV-UK1系統に対する抵抗性はウイルスの変異(UK1m)によって打破され全身えそを示すようになった。UK1mのゲノム配列をUK1と比較してみるとP3,CI及びCP遺伝子に1箇所ずつ非同義置換が検出されたため、各変異を導入した感染性クローンを作成し抵抗性S_2系統に接種したところ、CIの変異により抵抗性が打破されることが明らかとなった。さらに、このCIにおける1塩基置換によって「優春」の病徴はえそモザイクからマイルドなモザイクへと変化し、「はやひかり」が示す弱いえそと葉の奇形は消失した。また、カブ品種「早生大蕪」の示すモザイク症状も軽減した。UK1に対する抵抗性や感染時に示す多様な病徴は宿主の系統・品種に特異的であり、またこれらの反応の誘導にCIの共通部位が関係していることから、CIは同じ部位で宿主側の複数の因子と相互作用し、抵抗性だけでなく感染時の多様な病徴も誘導しているものと考えられた。
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