2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルス病における病徴制御法の開発~アブラナ科植物とカブモザイクウイルス~
Project/Area Number |
20580002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
犬飼 剛 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (90223239)
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Keywords | Brassica rapa / Turnip mosaic virus |
Research Abstract |
TuMVに感染したハクサイで生じるえそ病徴について遺伝解析を行ったところ、えそは抵抗性遺伝子と同じ遺伝子座の複対立遺伝子によって引き起こされることが明らかとなった。この遺伝子座をRnt1(Resistance and necrosis to TuMV 1)とした。このRnt1についてSSRマーカーを用いた連鎖解析を行ったところ、Rnt1は染色体R6上に座乗することが示された。Rnt1の座乗領域をさらに絞り込むため、R6上のSSRマーカーの配列情報を利用してRnt1を含む可能性のあるScaffold配列をハクサイゲノムデータベースBRADで検索したところ、Scaffold9(約4.7Mb)と129(約0.5Mb)の配列を得た。このうち129内に作成した2つのマーカーでRnt1を挟むことができた。この約300kbに渡る領域内にはR geneクラスターが一カ所存在しており、このクラスター内のR geneのいずれかがRnt1であると考えられた。一方、ウイルス側に存在するえそ誘導遺伝子はウイルスの突然変異系統を用いた解析によりCI遺伝子であることが明らかとなった。また、このCI遺伝子は非病原性遺伝子であるとともに奇形やモザイクなどの病徴誘導にも関わっていることが示された。このように、TuMVに感染したハクサイで生じる病徴はRnt1座とTuMVのCI間における相互作用によって複雑な制御を受けていることが明らかとなった。
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