2008 Fiscal Year Annual Research Report
サツマイモ野生種・栽培種の自家・交配不和合性における自他認識機構の解明
Project/Area Number |
20580004
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
土屋 亨 Mie University, 生命科学研究支援センター, 准教授 (30293806)
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Keywords | 自家不和合性 / サツマイモ野生種 / 交配不和合性 / S-遺伝子座 |
Research Abstract |
サツマイモ野生種(Ipomoea trifida)の自家不和合性並びにサツマイモ栽培種(I.batatas)の交配不和合性を支配する遺伝子を同定し、当該現象における自他認識機構の解明を通してサツマイモの効率的交配育種を行うべく研究を行った。 本年度は、I.trifidaの複数のS遺伝子型のS遺伝子座を単離し、その塩基配列を解析するとともに、S候補遺伝子の発現動態を解析した。またS候補遺伝子産物を大腸菌体内で合成を試みた。 研究開始当初得られていた、S1,S3,S10,S29,Sc(Sc:自家和合性変異体)のS遺伝子座のコンティグを元に塩基配列を解析し、計約650kbpを決定した。S遺伝子座の長さは優劣性の直線関係に則り、S29が最も長く、以下S1>Sc>S10>S3の順であった。S遺伝子座が最長のS29においては、S遺伝子座中央部へのミトコンドリアゲノムの挿入とそれに引き続いて起きたと推定される葉緑体ゲノムの挿入が認められた。また、S遺伝子座上のS候補遺伝子AB2,AB3,SE2,SEAの配列順序は遺伝子型を超えても共通であったこと並びにゲノム配列の多様性から、劣性のS遺伝子型が最初に発生し、その後、より優性のS遺伝子型が発生したと考えられた。 自家和合性系統であるScのS遺伝子座上には、S候補遺伝子であるSc-AB3,Sc-SEAが重複して存在していることが確認された。また、不和合性系統では柱頭特異的に発現するSEAのScホモログであるSc-SEAの一方は葯での異所的発現が確認された。これらがSc系統の自家和合性の原因になっていると考えられた。 なお、大腸菌で発現させたS候補遺伝子の多くは不溶化していることが確認されたため、現在、発現条件を再検討している。
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Research Products
(2 results)