2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石井 尊生 神戸大学, 農学研究科, 教授 (20260648)
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Keywords | イネ / 栽培化 / 穂の開帳性 / 種子脱粒性 / Oryza sativa / Oryza rufipogon / 連鎖地図 |
Research Abstract |
本研究では、栽培イネOryza sativaの栽培化を促す鍵となった遺伝子を解明するために、種子の非脱粒性ならびに穂の非開帳性に焦点を当てた。研究材料としては、野生イネO.rufipogon W630の遺伝的背景に栽培イネO.sativa Nipponbare由来の対立遺伝子を穂の開帳性を支配する遺伝子座(SPR3)と種子脱粒性を支配する遺伝子座(qSH1およびsh4)に導入した準同質遺伝子系統を用い、以下の3つの調査を行った。 1.野生イネおよび準同質遺伝子系統の種子採集効率の調査 野生系統W630および3つの準同質遺伝子系統を、それぞれ9個体からなるブロックにして圃場で育成し、種子成熟期に数日おきに手で穂をたたきながら脱粒種子を回収した。そして、種子採集効率をブロック内の植物体が生産した総稔実種子数に対する回収種子数の割合から算出した。 2.野生イネおよび穂の開帳性を支配する遺伝子座についての準同質遺伝子系統の種子脱粒程度の比較 野生系統W630および穂の開帳性を支配する遺伝子座についての準同質遺伝子系統を自然条件下で育成し、開花日から種子脱粒までの日数を記録した。 3.準同質遺伝子系統の他殖率の調査 圃場にて、3つの準同質遺伝子系統の植物を野生系統W630で取り囲むように配置し、準同質系統に実った種子の遺伝子型に基づき他殖率の推定を行った。 以上の結果から、野生種の穂の開帳性は1つの遺伝子座の変異によって栽培型の非開帳性に変わること、野生イネの遺伝的背景では種子脱粒性を支配する遺伝子座に栽培イネの対立遺伝子を導入しても非脱粒に変わらないこと、穂の非開帳性は種子の脱粒程度を緩和し、他殖を抑えることが明らかとなった。よって、穂の非開帳性は栽培イネOryza sativaの栽培化を促す鍵となった遺伝子であると考えられた。
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