2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境保全型作物栽培システムにおける植物残渣の分解過程の解明
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20580011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中元 朋実 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (50180419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 敏文 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 上席研究員 (80391465)
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Keywords | 植物残渣 / 有機物分解 / リターバッグ / 土壌 / 根 |
Research Abstract |
1.実験は東北農業研究センター畑地利用部(福島県福島市,黒ボク土)の試験圃場にて継統中である.実験1は,2008年秋に開始したものであり,コムギ,ライムギ,トウモロコシの葉,茎,根(計9種類)の植物残渣を1mmメッシュのナイロンの袋(10cmx10cm)に詰めたリターバッグを用い,秋播きライムギの発芽後約2週間後に,条間(非根圏)と条下(根圏)の深さ10cmに設置したものの分解過程を,昨年度に引き続き調査している.実験2は,2009年春に開始し,植物残渣にはコムギとライムギの茎を用い,同様の調査を行っている. 2.植物残渣の初期の分解は植物残渣中のリグニン含量と高い相関があり,分解速度の速いものから,ライムギ,コムギ,トウモロコシの順,器官別には根,茎,葉の順であったこととよく対応していた.1年余りの間の分解パターンには器官による違いがみとめられるようになった.分解曲線は基準温度を0℃とした有効積算地中温度を用いることによる平滑化が可能であり,実験1と実験2で類似した結果がえられている. 3.実験1におけるライムギの条間(非根圏)と条下(根圏)での分解速度の比較では,植物残渣の種類によって異なるものの,2-4ヶ月の間に分解量に有意な差がみられることが多く,根圏では非根圏に比べて分解が遅くなることが分かった.この差は8ヶ月目には解消した,根圏と非根圏の温度差は小さかったことから,水分や作物の根による干渉などが原因と考えられる.実験2ではライムギ茎の残渣の分解速度が根圏と非根圏で異なっていた.
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