2008 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物由来の高kcatRubiscoを利用したイネの光合成能力の改良
Project/Area Number |
20580014
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
深山 浩 Kobe University, 農学研究科, 助教 (60373255)
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Keywords | 光合成 / Rubisco / 酵素特性 / 相同組換 / イネ |
Research Abstract |
高CO2条件下でのイネの光合成能力の改良に有用なRubiscoを探索することを目的とし,高Kcat Rubiscoを持つことが予想されるイネ科C3植物の高山植物4種と寒冷地牧草類8種,イネ科C4植物10種についてRubiscoの触媒回転速度(Kcat)を測定した.これらの植物のRubiscoはイネよりも1.1〜2.8倍の高いKcatを示した.高いKcatを示したRubiscoについてCO2に対するKm(Kc)を測定したところ,それらのKcはイネよりも高い値を示した.従って,Kcatの増加はCO2に対する親和性を低下させると考えられた.しかし,分析に用いた植物種の中で, Festuca ovina, Phleum pretense, Sorghum bicolorはKcに対して比較的高いKcatを示した.F.ovinaとP.pratenseのKcatはイネの約1.5倍程度であったが,Kcがイネと同程度であり,またイネRbcLとのアミノ酸配列の比較においてはS.bicolorよりも高い相同性を示した.一方, S.bicolorのRubiscoは,Kcatがイネの2.5倍と顕著に高かった.F.ovinaとS.bicolorのRubiscoをイネで発現させた場合の光合成速度をシミュレートしたところ,特にCiが50Pa程度の高CO2条件下において,光合成速度が大幅に促進されることが予想された.以上の結果から,これらの植物のRubiscoが将来的な高CO2環境下におけるイネの光合成能力の改良に有用であると考えられた. 本研究ではまずKcat顕著に高かったS.bicolorのRubiscoをイネで発現させることを試みることとした.RubiscoはRbcLとRbcSの2種類のサブユニットで構成されており,酵素特性の大部分はRbcLによって決まっていると考えられる.S.bicolorのRbcLの配列はGenbankに登録されており,その全長をPCR法により増幅した.RbcLは葉緑体DNAにコードされていることからS.bicolorのRbcLをイネのRbcLの5'上流域と3'下流域で挟んだキメラ遺伝子を含む相同組換用プラスミドを作成し,パーティクルガンによる遺伝子の導入を試みている.
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Research Products
(5 results)