Research Abstract |
Rubiscoの反応回転速度K_<cat>が顕著に高いSorghum bicolorのRubiscoをイネで発現させることにより,特に高CO_2条件におけるイネの光合成の改良を目的として研究を進めている.葉緑体ゲノムにコードされているRbcLは形質転換が困難であり,今のところ成功には至っていない,しかし,ソルガムRbcSのイネ核ゲノムへの導入には成功し,多数の形質転換イネを得た.そのソルガムRbcs高発現形質転換イネではRubisco活性が顕著に高くなるが,光合成速度の増加は起こらないことが分かった.形質転換イネではRubisco含量が増加し,Rubiscoの活性化率,RubiscoのCO_2特異性が若干低下していた.また,形質転換イネの生育特性については栄養成長期における分げつ数が若干低下したが,それ以外の形質に関しては非形質転換イネと違いは認められなかった.以上の結果から,Rubisco活性を単純に増加させても,光合成特性,生育特性は大きな影響を受けないものと考えられた 高CO_2条件ではRubiscoが過剰となることから,光合成速度を改良するにはRubisco含量を50%程度に減少させる必要がある.そこで,ソルガムRbcSの発現量が全RbcSの約40%の形質転換イネSS10系統について,イネRbcsをRNAi法によりノックダウンすることを試みている.イネRbcsとソルガムRbcsで比較的塩基配列が異なるコード領域の3'側をトリガーとしてRNAiのコンストラクトを作出しており,SS10系統に遺伝子導入中である ソルガムとイネRbcSのアミノ酸配列を比較するとβ-A,Bループ,C末端の領域が大きく異なっている.ソルガムRbcsの導入がRubisco活性を高めるメカニズムを明らかとするために,β-A,Bループがソルガム,C末端がソルガム,β-A,BループとC末端がソルガムとなるようなキメラRbcS遺伝子を作出しイネに遺伝子導入した.現在,形質転換イネを育成中であり,Rubisco活性,光合成特性等を解析する予定である
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