2008 Fiscal Year Annual Research Report
ツツジ属植物における葉緑体ゲノム父性遺伝機構の細胞学的および遺伝学的解明
Project/Area Number |
20580020
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
嬉野 健次 University of the Ryukyus, 農学部, 准教授 (10333759)
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Keywords | 葉緑体DNA / ツツジ / 父性遺伝 |
Research Abstract |
ツツジにおける葉緑体ゲノムの父性遺伝の機構を、遺伝学的、細胞学的に明らかにすることを目的として、本年度は以下の実験を行った。まず、遺伝学的調査のための準備として、花粉親由来の葉緑体ゲノムの選択的消化を支配する遺伝子が種子親の核ゲノムもしくは葉緑体ゲノム内にあるのか明らかにするため、オオヤマツツジ(Sグループ)とオオシマツツジ(Fグループ)間の交配で得られたF_1実生(20実生)を種子親にして、Fグループのタイワンヤマツツジを交配した。これらF_1実生には、葉緑体ゲノムとしてオオヤマツツジ由来の実生とオオシマツツジ由来の実生が存在する。交配180日後に種子を採取し、発芽試験を行った。その結果、いずれの交配からも種子が得られ、その発芽率は60%以上と高かったことから、本交配には、交雑不和合性は存在しないと思われた。次に、葉緑体DNAの遺伝性を明らかにするため、これら得られたBC_1実生について、trnL-trnF遺伝子間領域およびtrnG-trnM遺伝子間領域についてPCRを行った。その結果、いずれの実生からも増幅産物が得られた。現在、これら実生について、SSCP法により葉緑体DNAの遺伝性の調査を行っている。 さらに、ツツジにおける葉緑体ゲノムの遺伝と実生の葉色との関係を明らかにするため、plastome-genome imcompatibilityが出現する常緑性ツツジ×落葉性キレンゲツツジの亜属間交配について、異倍数体間交配を行い、実生の葉色を調査した。その結果、2x常緑性×2xキレンゲ、2x常緑性×4xキレンゲおよび4x常緑体×4xキレンゲではplastome-genome incompatibilityが出現するが、4x常緑体×2xキレンゲでは出現しないことを明らかにした。
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