2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580024
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高柳 勉 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (00252007)
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Keywords | 香り化合物 / ブドウ / 配糖体 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ブドウ果実における香り化合物の蓄積メカニズムを分子レベルで解析することである。具体的には,ブドウの主要な香り化合物を明らかにし、その蓄積のキー反応と推測される配糖化反応を触媒する酵素の機能を解明する。平成20年度は,ブドウの各部位(葉,果皮,果肉)における遊離の香り化合物とその配糖体の種類と量がブドウの生育時期を通してどのように変化するか検討した。 赤ワイン製造用ブドウとして栽培されている代表的な4品種(カベルネ・ソービニヨン、メルロー、シラー、マスカット・ベリーA)のブドウ果実と葉を成熟開始前、成熟前期、成熟後期の各時期に採取し、それらに含まれる香り化合物の遊離および配糖体をガスクロマトグラフィー質量分析計(GC-MS)により分析した。品種間で比較すると、マスカット・ベリーAは果肉に遊離のフラネオール、メルローは葉に遊離のベンジルアルコール、シラーは果肉と果皮に配糖体のベンジルアルコールをそれぞれ多く含んでいた。葉、果皮、果肉の部位ごとに比較すると、葉に含まれる香り化合物が種類、量ともに多かった。果皮は、高級アルコールとアルデヒド類を多く含み、果汁は、他の部位に比べて香り化合物の含有量が低かった。マスカット・ベリーAに特徴的なフラネオールは、果皮と果肉に検出され、葉では検出されなかった。ベンジルアルコールのように、ブドウの各部位に共通して存在する香り化合物(遊離および配糖体の両方の形で)が見出された。 揮発性香り化合物は,本来,水に難溶性であり,細胞内で安定して蓄積するためには,配糖化のような、水溶性物質への誘導体化が不可欠である。本年度の研究で、ブドウの各部位に存在する香り化合物とその配糖体の種類と量が明らかになった。平成21年度は、主要な香り化合物の配糖化を触媒する酵素を分離・精製し、その機能を解析する。
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