2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580024
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高柳 勉 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (00252007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 俊二 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (60372728)
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Keywords | 香り化合物 / ブドウ / 糖転移酵素 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ブドウ果実における香り成分の蓄積メカニズムを分子レベルで解析することである。具体的には、ブドウの主要な香り成分を明らかにし、その蓄積のカギとなる配糖化反応を触媒する酵素の性質を解析する。平成20年度の研究では、ブドウの各部位の主要な香り成分の種類と量を明らかにした。平成21年度は、これら香り成分の配糖化を触媒する酵素を探索し、マスカット・ベリーAブドウの葉に、フラネオールを配糖化する酵素が存在することを確認した。しかし、酵素の精製が困難であったため、酵素遺伝子を解析する実験を開始した。平成22年度は、酵素遺伝子の大腸菌での生産、そして得られた酵素タンパク質の活性測定を行った。 マスカット・ベリーAブドウの葉から得られた配糖化酵素の候補遺伝子(Mba2、Mba4、Mba5、Mba6)をpColdIベクターに挿入した後に、大腸菌へ形質転換し、酵素タンパク質を生産した。生産されたMba2、Mba4、Mba5、Mba6の酵素タンパク質をアフィニティーカラムにより精製した。得られたフラクションが酵素タンパク質を含むことをSDS-PAGEにより確認した後に、その糖転移活性を測定した。UDP-グルコースを糖供与体として、ブドウの香り化合物(フラネオール、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール)およびポリフェノール化合物に対する糖転移活性を測定したが、配糖化生成物を確認できなかった。平成22年度において、候補遺伝子由来の酵素タンパク質を大腸菌で生産し、その配糖化活性を測定する段階まで研究を進めることができた。今回の研究結果をもとに、さらに研究を進め、活性を持つ配糖化酵素を得ることができれば、ブドウの香り成分の配糖化機構に関する重要な知見が得られると期待される。
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