2008 Fiscal Year Annual Research Report
バラ科果樹におけるソルビトールの果実品質決定メカニズムの解明
Project/Area Number |
20580025
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 康生 Kobe University, 農学研究科, 助教 (30335426)
|
Keywords | バラ科果樹 / ソルビトール / 糖シグナル / S6PDH |
Research Abstract |
本年度は、バラ科果樹の転流糖の生合成調節機構の解明するために、ソース器官である葉における、光合成最終産物の合成の各キー酵素の糖による遺伝子発現制御について解析を行った。バラ科果樹であるビワの葉を切り取り、その葉柄を様々な濃度のソルビトール、スクロース及びポリエチレングリコール水溶液につけて、二日間、連続光の下、20℃でインキュベートした。葉よりmRNAを抽出し、ソルビトール合成のキー酵素であるソルビトール-6-リン酸脱水素酵素(S6PDH)、スクロース合成のキー酵素であるスクロースリン酸合成酵素(SPS)及びデンプン合成のキー酵素であるADPグルコースピロホスホリラーゼ(ADPGPPase)のラージサブユニットの遺伝子発現をリアルタイムPCRで調べた。その結果、S6PDHはスクロースあるいは浸透圧により発現が正に制御されることが明らかとなった。 また、ソルビトールにより負に制御される傾向が示されたことから、浸透圧により制御される場合にはソルビトールは浸透圧物質として関与しない可能性が示唆された。SPSはソルビトール、スクロースより発現が負に制御されたが、スクロースによる制御の方がより顕著であったことから、スクロースは直接的に、ソルビトールは間接的に関与していることが考えられた。ADPGPPaseは、糖により発現が正に制御される遺伝子と考えられているが、今回はいずれの処理によっても負に制御された。以上のことから、スクロースとともにソルビトールを転流糖として用いるバラ科果樹には、一般的な植物と異なる、特有の、糖による遺伝子発現制御機構が存在することが示唆された。
|