2009 Fiscal Year Annual Research Report
バラ科果樹におけるソルビトールの果実品質決定メカニズムの解明
Project/Area Number |
20580025
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 康生 Kobe University, 農学研究科, 助教 (30335426)
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Keywords | バラ科果樹 / ソルビトール / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本年度は、ソルビトール合成能を抑制したリンゴの形質転換体を材料に、cDNAマイクロアレイによる、ソルビトールにより発現が制御される遺伝子の網羅的解析を行った。マイクロアレイは、主にNCBIのホームページより公開されているリンゴ(Malus x domestica)の23,731個のユニジーン(UniGene)を配置したカスタムアレイを用いた。材料には、非形質転換体と、ソルビトール6リン酸脱水素酵素(S6PDH)のアンチセンス遺伝子を導入した形質転換体の成葉をもちいた。これらはいずれも米国カリフォルニア大学デービス校の実験圃場で栽培されている成木である。その結果、有意に(P<0.05)2倍以上発現が変動する遺伝子として389個の遺伝子が同定された。うち210個の遺伝子の発現が形質転換体で減少し、179個の遺伝子の発現が増加し、前者にソルビトールにより正に制御される遺伝子、後者に負に制御される遺伝子が含まれる可能性が考えられた。Gene ontology解析をおこなったところ、"Biological process"において、形質転換体で発現が減少する遺伝子では"cellular protein metabolic process"、"response to stress"、"signal transduction"、"oxidation reduction"、"regulation of transcription, DNA-dependent"、"response to hormone stimulus"に含まれる遺伝子群の変動が見出され、変動が大きい遺伝子については、ソルビトール代謝に関する遺伝子を除き、機能不明のものが多く存在した。一方、形質転換体で発現が増加する遺伝子では"Cellular metabolic process"、"cellular biopolymer metabolic process"、"regulation of transcription"、"oxidation reduction"、"defense response"、"carbohydrate metabolic process"、"response to hormone stimulus"に含まれる遺伝子群の変動が見出され、とりわけ"defense response"に含まれる遺伝子が大きく変動することが明らかとなった。
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