Research Abstract |
本年度は,マグロ,カツオ,サバなど青魚の内臓,頭および骨などから精製した「魚肉エキス(液体)」の肥料効果を水耕栽培により検討した.トマト`ハウス桃太郎'を供試した.1.有機物の徐添加方法の検討:水耕栽培装置(50L)に水切り袋にバーク堆肥を250g入れた後,魚肉エキス濃度が1,000倍になるよう徐々に添加した.(1)15日間で,3.6mLずつ徐々に添加し,5日間放置した.(2)10日間で,5.4mLずつ徐々に添加し,10日間放置した.いずれも硝酸濃度が200mg/Lを超えたので,魚肉エキスの添加を中止し,硝化菌に硝酸を生成させることができた.対照区は市販の水耕用肥料を用いて水耕栽培した.2.定植後,魚肉エキス添加量の検討:水耕液内には硝化菌が生息し,かつトマトも栽培しているので,窒素成分(硝酸)が欠乏しないように魚肉エキスの添加量を3.6mL,5.4mL,7.2mLの3段階設け,生育および果実収量および品質に最適な添加量を検討した.(1)植物体成長量の測定:葉長・葉幅,葉色,地上部・地下部の新鮮重・乾物重などを測定したが,各処理間に大きな差異はなかった.(2)収穫した果実個数と重量を測定したが,魚肉エキス添加区で,やや小さくなった.(3)収穫した果実品質の測定:果実糖度,滴定酸度,果実表皮色などには,大きな差異はみられなかったが,アスコルビン酸含量は魚肉エキス添加区で増加した.無機養分の吸収量,果実品質の測定あるいは微生物の変動は今後分析する予定である.3.培養液の測定:pH,EC,液温,硝酸態窒素量,アンモニア態窒素量の経時的変化を測定したが,液温が上昇した場合,硝化菌の活性が低下したことが推察された.
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