2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナスにおける細胞質雄性不稔の特性及びオルガネラの遺伝様式の解明
Project/Area Number |
20580033
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
一色 司郎 Saga University, 農学部, 准教授 (40253588)
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Keywords | 細胞質雄性不稔 / 種なし / ナス / 稔性回復遺伝子 / 葉緑体両性遺伝 |
Research Abstract |
本研究は、これまでに育成した6種類のタイプの異なる細胞質雄性不稔系統(CMS系統)について、CMSのタイプ、遺伝様式、稔性回復遺伝子(Rf)の有無およびタイプなどの特性を解明すること、また、研究の中で発見した葉緑体の両性遺伝現象について葉緑体DNAの分析によって、その様相を解明することを目的とする。平成20年度の主な研究成果はつぎの通りである。 (1)花粉稔性及び花器の様相について調査した結果、6種類のCMS系統がいずれも安定した雄性不稔性を示した。また、種子稔性の調査のために、結果率、種子数及び種子発芽率について調査した結果、いずれの系統も比較的高い種子稔性を示した。 (2)ナス属野生種Solanum grandifoliumを種子親、ナスを花粉親として戻し交雑を行い作出した戻し交雑第三代(BC3)について、稔性の調査および葉緑体およびミトコンドリアDNAのPCR-RFLP分析を行った結果、BC3においても花粉を形成しないタイプの雄性不稔性を示す個体が出現した。さらに、花粉形成の有無の分離の結果から、この雄性不稔性が細胞質・核遺伝子型のものであると推定された。 (3)ナス属野生種Solanum anguiviのを細胞質親とし、ナスを核親として連続戻し交雑で作出した戻し交雑第六代(BC_6)における雄性稔性に関する遺伝分離を調査した。その結果、花粉を形成するRfをもつ個体と花粉を形成しないRfをもたない個体との分離比が17:4と大きく歪んだ分離となった。このことから、細胞質雄性不稔が核-細胞質型のものであることはあらためて確認できたが、理論的分離比から大きく外れたことから、稔性回復に関与する遺伝子が単一の主働遺伝子でない可能性が考えられた。
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Research Products
(4 results)