2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナスにおける細胞質雄性不稔の特性及びオルガネラの遺伝様式の解明
Project/Area Number |
20580033
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
一色 司郎 Saga University, 農学部, 准教授 (40253588)
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Keywords | 細胞質雄性不稔 / 種なし / ナス / 稔性回復遺伝子 / 葉緑体両性遺伝 |
Research Abstract |
本研究は、これまでに育成した6種類のタイプの異なる細胞質雄性不稔系統(CMS系統)について、CMSのタイプ、遺伝様式、稔性回復遺伝子(Rf)の有無およびタイプなどの特性を解明すること、また、研究の中で発見した葉緑体の両性遺伝現象について葉緑体DNAの分析によって、その様相を解明することを目的とする。平成21年度の主な研究成果はつぎの通りである。 (1) ナスを核親および野生種S.virginianum,S.kurzii,S.violaceum,S.anguivi,S.aethiopicumおよびS.grandifoliumを細胞質親として、連続戻し交雑で作出した、1)機能的雄性不稔を示すMS(Svir),MS(Skur)およびMS(Svio)、ならびに、2)細胞質・核遺伝子型雄性不稔の雄性可稔系統MF-MS(Sang),MF-MS(Saet)およびMF-MS(Sgra)を供試材料として、稔性を調査した結果、MSおよびMF-MS系統はナスよりも花粉の稔性が劣るものの、自殖種子が得られたことから、これらの自殖による種子繁殖や葯培養による純系化が可能であることがわかった。また、MSおよびMF-MS系統がナスより花粉の稔性が低かった直接的な原因として、花粉のデンプンの蓄積量がナスより少なかったこと、ならびに、その後のデンプンの分解の進行がナスより劣ったことなどがわかった。 (2) S.virginianumの細胞質を用いたナス細胞質置換系統で、葉緑体DNAの組換え型のもの(A系統)およびS.virginianum型のもの(B系統)について、稔性を比較した結果、B系統は、花粉稔性および種子稔性がA系統のより極端に低いこと、また、B系統では開葯するが、A系統では開葯しないことがわかり、これらの性質の違いが、両者の葉緑体DNAの違いに起因することが推定された。
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