2009 Fiscal Year Annual Research Report
チョウの行動特性から捉えた屋上緑化空間の生息ポテンシャル評価に関する研究
Project/Area Number |
20580038
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上甫木 昭春 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (70152858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 実 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80176148)
平井 規夫 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (70305655)
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Keywords | アゲハ / 壁面特性 / 飛行特性 |
Research Abstract |
本年度は,チョウの行動特性から屋上空間へのチョウの誘引に有効な壁面緑化のあり方を探った。 調査対象地は大阪府立大学中百舌鳥キャンパス内の生命環境科学部棟南東側エリアとし,壁面特性を探る実験区として,(1)対照区(誘引材を設置しない),(2)ネット区(緑色のネットを設置),(3)上面テープ区(上面に養生テープを施したネットを設置),(4)全面テープ区(全面に養生テープを施したネットを設置),(5)クズ区(全面に養生テープを施し,クズを絡ませたネットを設置),(6)造花区(全面に養生テープを施し,上面に造花を施したネットを設置)の6区を設定した.チョウの行動特性を把握するため,10~15時に出現したチョウを追跡する一個体追跡調査を各実験区3日ずつ計18日行い,種名,飛行ルート,飛行の高さ,飛行の速さを記録した.個体数が多かったナミアゲハとアオスジアゲハを対象として,行動特性と空間特性および壁面特性との関係を解析した. 調査の結果、両種とも地表面がアスファルトで舗装された空間を相対的に速く飛行し,植栽帯において,ナミアゲハは樹木を横に見ながら飛行し,、アオスジアゲハは樹木を下に見て飛行する傾向が読み取れた.また,本研究で垂直壁面に設置した誘引材には,樹木を横に見るナミアゲハの飛行の速さを抑制し,壁面に近づける効果があることがわかった.これより,屋上空間へのチョウの誘引に有効な壁面緑化のあり方としては,種の飛行特性や建物周辺の緑化状況に応じた壁面緑化が必要であると類推される.具体的には,ナミアゲハには建物周辺の植栽の樹高より上部の壁面の緑化,アオスジアゲハには壁面をテラス状にして緑化するなど上から緑を視認できる構造の有効性について今後検討する必要があると考えられる.
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