2009 Fiscal Year Annual Research Report
希少野生生物種の保全・創出と活用に関する技術的研究
Project/Area Number |
20580039
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
勝野 武彦 Nihon University, 生物資源科学部, 教授 (20060014)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 啓志 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (20369135)
|
Keywords | フトン籠 / 希少野生生物 / 緑化 / 里山 |
Research Abstract |
フトン籠を用いた人工壁面上に、鎌倉市の希少植物であるケイワタバコを試験移植し、その後の活着状況を追った。初夏期の移植により45%の活着率が得られた。また、年を越えての生育も確認された。土壌の種類は荒木田土・山砂で、移植部位では地際より壁面中庸部位で比較的活着状況が良好であった。移植時期は初夏期が適していること、特に夏期には枯死個体が多くなること、活着すれば越冬しての翌年の生育も期待できること、土壌の種類は荒木田土か山砂を好むこと、方位は概ね既存の自生群落と同じ向きを好むこと、地際よりも壁面の中庸の部位が適していることが明らかになった。これらの条件を考慮することで、本種の垂直面の生育基盤材としてフトン籠の有効性が示された。 また、希少種モリアオガエルの産卵時における樹林と水域が一体化した空間の特性を把握するため、樹林内の小池における繁殖時の空間利用を調査した。全148個の泡巣について利用樹木と水面との関係を調べた結果、泡巣の高さは106~950cmの範囲にあり、平均は434cmであった。樹木毎に産卵数に多寡が見られ、常緑小高木のアセビ、落葉高木・中高木のコナラ、ウリカエデで産卵数が多かった。しかし、樹種や樹高よりも樹冠と水面の水平的な重なりが重要であると推察された。時期が遅くなるほど産卵部位は高くなることが示された。すなわち、本種は繁殖期間内で利用空間を垂直方向にずらしながら産卵している可能性があり,本種の繁殖には樹冠の葉群が垂直方向にある程度の幅を持って存在していることが重要と考えられる。本種は水域と樹冠が重なる範囲に限定して産卵しており、水域-樹林複合環境として本種が繁殖で直接的に利用する空間は、比較的狭い範囲であることが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)