2009 Fiscal Year Annual Research Report
キウイフルーツ等マタタビ属果実優良品種開発を目指した基礎研究
Project/Area Number |
20580040
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
西山 一朗 Komazawa Women's University, 人間健康学部・健康栄養学科, 教授 (10183899)
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Keywords | キウイフルーツ / マタタビ属 / 品種 / シュウ酸 / ポリフェノール / ラジカル消去能 / アクチニジン / アイソザイム |
Research Abstract |
マタタビ属果実の成分や機能性の品種・系統間差異を検討するため、以下の1および2の実験を行った。 1.シュウ酸やポリフェノールの含量および抗酸化性などを測定し、平成20年度に得た結果と比較した。果実内シュウ酸濃度は、ニュージーランド系キウイフルーツ(Actinidia deliciosa種)では13.4-36.2mg/100gFW、中国系キウイフルーツ(A.chinensis種)では19.7-33.5mg/100gFWであった。一方、シマサルナシ(A.rufa)およびサルナシ(A.arguta種)の果実内シュウ酸濃度は、それぞれ40.6-105.4mg/100gFWおよび23.5-63.8mg/100gFWであり、キウイフルーツよりも全般に高値を示した。総ポリフェノール量は、ニュージーランド系キウイフルーツでは30-45mg/100gFWと比較的均一であったが、中国系キウイフルーツでは25-110mg/100gFWとばらつきが大きく、また、サルナシでは65-102mg/100gFWと高値を示した。DPPHラジカル消去能は、ニュージーランド系キウイフルーツでは2.3-4.9μmol Trolox eq./gFWであったのに対し、中国系キウイフルーツでは7.5-14.1μmol Trolox eq./gFW、サルナシでは4.6-15.0μmol Trolox eq./gFWと全体的に高値を示した。以上の結果は、平成20年度に得られた結果とほぼ同等であったことから、これらの成分や機能性の差異は、品種・系統間差異である可能性が高いものと判断された。 2.'ヘイワード'果実よりアクチニジンの主要な二種類のアイソザイム(A1およびA2)を精製した。また、サルナシである'光香'果実からはアクチニジン類似酵素群を抽出し、そのうちの二種類のアイソザイム(M2およびM4)を精製した。さらに、A1およびA2のアイソザイム構成比率をHPLC分析によって調べた結果、'片浦イエロー'、'79-1-2:141'や'エルムウッド'ではA1の比率が80~100%と高値であり、一方、'讃緑'、'紅心'および'ゴールデンキング'では、A1の比率が28~30%と低値であり、品種・系統ごとに大きな差異があることが示された。 本実験結果は、食品機能性に優れ、なおかつ食味良好な付加価値あるマタタビ属果実優良品種を開発するための遺伝資源の選抜に寄与する基礎研究として重要である。
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