2008 Fiscal Year Annual Research Report
難治性小児喘息児童のストレスマネジメントに有効な園芸プログラムに関する研究
Project/Area Number |
20580042
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Research Institution | Agricultural, Food and Environmental Sciences Research Center of Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
豊原 憲子 Agricultural, Food and Environmental Sciences Research Center of Osaka Prefecture, 環境研究部, 主任研究員 (40333421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 聡 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (10231672)
長谷 範子 四天王寺大学, 人文社会学部, 講師 (70390143)
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Keywords | 喘息 / 臨床心理 / 児童心理 / 園芸療法 |
Research Abstract |
難治性小児気管支喘息による入院児童7名に対し、3ヶ月から1年の入院期間に、種まき-栽培-収穫-食べるの行程を中心とした園芸プログラムを実施し、活動時のモチベーション、フェイスマーク、会話量について7段階の指標を設定してプログラム毎に経時的に評価した。併せて活動前後の呼吸機能について入院中の呼吸機能モニタリングデータに照らし合わせた。 多くのケースで、活動へのモチベーションがフェイスマークに先行して上昇する傾向があり、活動時間内にモチベーションの極端な低下や表情の悪化は認められなかった。また、暑い、寒いなどの気象条件等を理由として自ら欠席を希望したケースはなかった。 プログラムにおける積極性は、収穫作業とこれに伴う食べる行程で高く、野菜嫌いな児童のほとんどが活動中の自身の収穫物であれば食べた。一方、プログラムの参加が長期にわたる児童では植物の種子あるいは幼苗期からの栽培体験と、児童個人への管理責任の設定が、植物へのこだわりを高め、プログラム内での自主的行動を誘導することがわかった。参加した多くの児童がハウスダスト(ダニ)へのアレルギー反応を有したが、プログラム中の土や植物、有機質肥料への接触による咳などの喘息症状は確認せず、ピークフローモニタリングでの呼吸機能の低下は認められなかった。現時点でプログラムの内容に対する児童のモチベーションにかかる量的方向性見いだせたが、一人ひとりの個性や背景を踏まえ、個々のストレス緩和を目的とした質的研究の必要性が認められた。 プログラム内で多くの児童の積極性を減退させる事象は気象条件よりもハチや蚊の出現期における足下の見えにくい植生への進入であった。また、自らが介入していない既存植生に対する関わりが少なく、花が美しいといった景観は児童の行動範囲の拡大につながらなかったことから、次年度はこれまでに集積した行動パターンを基に空間の積極的活用にむけた児童のための庭園デザインを進める。
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