Research Abstract |
(1)AVR-Pia遺伝子発現,産物の特徴付け AVR-PiaとGFPの間にスペーサーとなるアミノ酸配列(GGS)を入れ,それぞれの機能を阻害しないように工夫したベクターを作成し,Ina168m95-1に形質転換で導入した.その結果,一部の株でAVR-Piaの機能の相補が見られる場合があった.一方,定量RT-PCRを用いて,感染過程でのAVR-Pia遺伝子の発現を解析した.その結果,親和性の組み合わせ,非親和性の組み合わせに関わらず,接種後24時間後に発現が見られた.親和性の組み合わせでは,その後AVR-Pia遺伝子の発現が継続して上昇していくのに対し,非親和性の組み合わせでは,24時間後以降,発現は減少し,42時間後にはほとんど発現が見られなくなった.以上のことから,AVR-Piaはいもち病菌の付着器形成~イネへの侵入時に発現することが明らかとなった. (2)Ina168m95-1の欠失領域の特定と,変異様式の解明 昨年度解析したAVR-Piaの3'領域のDNA塩基配列から,トランスポゾンなどの反復配列以外の部分について,PCRにより存在の有無を解析した.その結果,AVR-Piaの3'側に存在するDNA型トランスポゾンOccanの3'側はすべてIna168m95-1株に存在することが確認された.これにより,Ina168m95-1株におけるAVR-Piaの欠失にOccanが関与したことが示唆された. (3)圃場分離株における変異様式の解明と,病原性判定システムの構築 イネ品種愛知旭に病原性のいもち病菌圃場分離株よりDNAを抽出し,AVR-Piaをプローブとしたサザン解析を行った.当研究室に保存されていた圃場分離株と,新たに北海道空知管内の圃場から分離した愛知旭に病原性の株からは,AVR-Piaの配列が増幅されなかった.
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