2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原菌の生育を抑制するマイコウイルスの機能解析及び生物防除資材としての開発
Project/Area Number |
20580045
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
森山 裕充 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 講師 (20392673)
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Keywords | マイコウイルス / 弱毒化ウイルス / 2本鎖RNAウイルス / イネいもち病菌 / アルタナリア・アルタナータ菌 / 生物防除資材 / ウイルス農薬 / 環境低負荷型農業 |
Research Abstract |
本年度研究では、研究代表者らが独自に発見したイネいもち病菌を弱毒化するマイコウイルス(Magnaporthe oryzae chrysovirus 1,MoCV1)の遺伝子構造やウイルス粒子構造を明らかにした。MoCV1のウイルスゲノムは、dsRNA1(3,554nt)、dsRNA2(3,250nt)、dsRNA3(3,074nt)、dsRNA4(3,043nt)の少なくとも4つの分節ゲノムで構成されており、ウイルス粒子の形態は直径35nmの球形で浮遊密度は1.36-1.39g/cm^3であり、粒子には各dsRNAセグメントが1成分つつパッケージングされることを明らかにした。REMI法による形質転換技術を利用したマイコウイルス感染実験においては、薬剤耐性遺伝子を有するDNAプラスミドの形質転換技術は確立したが、ウイルス感染技術の確立は継続検討中である。現在、各ウイルス遺伝子由来のcDNAクローンをイネいもち病菌に形質転換する実験も進めており、弱毒化の要因となるMoCV1遺伝子を特定化する実験を進行中である。尚、研究者らはMoCV1がマイコウイルスとしては新しい特徴である細胞外での存在が可能であることを見出していたが、ウイルスフリー株のイネいもち病菌に、液体培養中に菌体中から浮遊してきたMoCV1を接種すると、ウイルス散布により委縮した菌体中からは、MoCV1由来のdsRNAゲノムが存在することを確認し、マイコウイルスはスフェロプラスト化を経ずに、菌糸体に直接的に感染できることを示唆する結果を得た。今後はウイルス感染株とウイルスフリー化株との間で、アレイ解析などを行うことで遺伝子発現プロファイルを比較して、ウイルスが原因となる弱毒化現象などの解析を行っていく。
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Research Products
(28 results)